2族元素はすべて最外殻電子2個をもつアルカリ土類金属です。
カルシウムCaの化合物は身のまわりに広く存在し、CaO・Ca(OH)₂・CaCO₃・CaSO₄の変換関係が入試の核心。
「石灰石 → 生石灰 → 消石灰」の一本道を、反応式と用途を紐づけながら理解しましょう。
2族元素はすべて金属元素で、アルカリ土類金属とよばれます(ただし歴史的な分類ではBeとMgを除く場合もあります)。原子は価電子を2個もち、2価の陽イオン(Be²⁺、Mg²⁺、Ca²⁺など)になりやすい傾向は原子番号が大きいほど強くなります。
| 元素 | 融点(℃) | 密度(g/cm³) | 水との反応性 | 炎色反応 |
|---|---|---|---|---|
| Be(ベリリウム) | 1282 | 1.85 | 反応しない | 示さない |
| Mg(マグネシウム) | 649 | 1.74 | 熱水と反応 | 示さない |
| Ca(カルシウム) | 839 | 1.65 | 常温の水と激しく反応 | 橙赤色 |
| Sr(ストロンチウム) | 769 | 2.54 | 常温の水と激しく反応 | 赤(紅)色 |
| Ba(バリウム) | 729 | 3.59 | 常温の水と激しく反応 | 黄緑色 |
銀白色の軽くてやわらかい金属。常温の水と激しく反応して水素を発生します。
Ca + 2H₂O → Ca(OH)₂ + H₂↑
銀白色の軽くてやわらかい金属。空気中で強熱すると明るい白色の光を発して燃焼します。
2Mg + O₂ → 2MgO
水酸化物(Mg(OH)₂は難溶、Ca(OH)₂は少し溶ける、Sr(OH)₂・Ba(OH)₂はよく溶ける)、炭酸塩(すべて難溶)、硫酸塩(MgSO₄はよく溶ける、CaSO₄は少し溶ける、SrSO₄・BaSO₄は難溶)は入試頻出です。特にBaSO₄は白色沈殿として硫酸イオンの検出に使われます。
生石灰ともよばれる白色の固体。石灰石(CaCO₃)を強熱する(熱分解する)ことで得られます。
CaCO₃ → CaO + CO₂↑(強熱)
CaOは水と反応して激しく発熱し、水酸化カルシウムを生じます。この発熱反応を利用して発熱剤(加熱型弁当、カイロ)や乾燥剤に用いられます。
CaO + H₂O → Ca(OH)₂ (発熱)
消石灰ともよばれる白色の粉末。水に少し溶けて強い塩基性を示します(ただしMg(OH)₂より溶けやすい)。
Ca(OH)₂の飽和水溶液を石灰水といい、二酸化炭素を通じると炭酸カルシウムCaCO₃の白色沈殿が生じるため、CO₂の検出に利用されます。
Ca(OH)₂ + CO₂ → CaCO₃↓ + H₂O …①(白濁)
CaCO₃ + H₂O + CO₂ → Ca(HCO₃)₂ …②(さらにCO₂を通じると再溶解)
Ca(OH)₂は漆喰(しっくい)や酸性土壌の改良剤にも用いられます。漆喰に含まれるCa(OH)₂が空気中のCO₂と反応してCaCO₃になることで固まります(①式の反応)。
石灰石・大理石・貝殻の主成分として天然に広く存在します。塩酸を加えるとCO₂が発生します(弱酸遊離)。
CaCO₃ + 2HCl → CaCl₂ + H₂O + CO₂↑
セメント・ガラスの原料、歯みがき粉、チョーク、顔料などに幅広く利用されます。
天然にはセッコウ(硫酸カルシウム二水和物、CaSO₄·2H₂O)として産出します。これを約140℃に加熱すると焼きセッコウ(CaSO₄·½H₂O)になります。
CaSO₄·2H₂O → CaSO₄·½H₂O + 3/2 H₂O(約140℃)
焼きセッコウを水で練ると発熱しながら膨張し、再びセッコウになって固まります。この性質を利用して医療用ギプス・建築材料・彫刻型などに用いられます。
CaCO₃(石灰石)→強熱→ CaO(生石灰)→水を加える→ Ca(OH)₂(消石灰)→CO₂を通じる→ CaCO₃(石灰石に戻る)
この循環を逆にたどれるかが入試の鍵。各矢印に反応式と用途を対応させて覚えておきましょう。
セメントはおもに石灰石CaCO₃・粘土・ケイ砂SiO₂を原料として製造されます。これらを混合して高温(約1450℃)で焼成すると、ケイ酸カルシウム(3CaO·SiO₂)や アルミン酸カルシウム(3CaO·Al₂O₃)などの複合酸化物が生成します。
セメントに水を加えると水和反応が起こり、徐々に硬化します(「水和熱」と呼ばれる発熱を伴う)。これがコンクリートの固化のしくみです。ソーダ石灰ガラスの原料(ケイ砂+炭酸ナトリウム+石灰石)とは異なる用途で石灰石が使われていることに注意しましょう。
アルカリ土類金属の知識は、自然現象・工業・医療と幅広くつながっています。
Q1. 石灰水にCO₂を大量に通じると白濁が消える理由を、化学反応式を示して説明せよ。
Q2. CaO(生石灰)の製法と、水との反応を化学反応式で示せ。
Q3. アルカリ土類金属のうち、常温の水と反応しないものをすべて挙げよ。
Q4. 焼きセッコウに水を加えると固まる理由を述べよ。
基礎(A)から発展(C)まで段階的に取り組んでみてください。
カルシウムの化合物に関する記述として誤っているものを、次の①〜⑤から1つ選べ。
④
④が誤り。石灰水に少量のCO₂を通じるとCaCO₃の白色沈殿が生じるが、さらに過剰にCO₂を通じるとCaCO₃ + H₂O + CO₂ → Ca(HCO₃)₂ の反応が起こり、水溶性のCa(HCO₃)₂が生成して白濁が消えて透明に戻ります。
次の文章を読み、各問に答えよ。原子量:Ca=40、C=12、O=16、H=1。
石灰岩(主成分CaCO₃)に塩酸を加えると気体が発生する。また、石灰岩地帯ではCO₂を含む雨水が石灰岩を溶かして鍾乳洞が形成される。
(1) 石灰岩に塩酸を加えたときの反応を化学反応式で示せ。
(2) 鍾乳洞が形成されるしくみを、関係する化学反応式を示して説明せよ。
(3) CaCO₃ 50.0 gから生成するCaOの質量(g)を求めよ。
(1) CaCO₃ + 2HCl → CaCl₂ + H₂O + CO₂↑
(2) CaCO₃ + H₂O + CO₂ → Ca(HCO₃)₂。CO₂を含む雨水が地下に浸透すると、石灰岩(CaCO₃)が水溶性のCa(HCO₃)₂に変化して溶け出し、地下に空洞(鍾乳洞)が形成される。
(3) 28.0 g
(3) CaCO₃のモル質量100 g/mol、CaOのモル質量56 g/mol。CaCO₃ 50.0 g = 0.500 mol → CaO 0.500 mol = 56×0.500 = 28.0 g。
アルカリ土類金属の硫酸塩の溶解性は Be・Mg では大きく、Ca では小さく、Sr・Ba ではほぼ溶けない。一方、水酸化物の溶解性は逆に、Be・Mg では小さく、Ca では少し溶け、Ba ではよく溶ける傾向がある。この規則性を利用して、以下の問いに答えよ。
(1) 硫酸バリウムBaSO₄が水に難溶であることを利用した実験操作を1つ述べよ。
(2) BaCl₂水溶液とNa₂SO₄水溶液を混合したときの変化を化学反応式で示せ。
(3) Ba²⁺イオンを含む溶液が人体にとって有害であるにもかかわらず、BaSO₄が消化管X線検査の造影剤として使われる理由を説明せよ。
(1) 硫酸イオンSO₄²⁻の検出(BaSO₄の白色沈殿生成の確認)
(2) BaCl₂ + Na₂SO₄ → BaSO₄↓ + 2NaCl
(3) BaSO₄は水に極めて難溶であるため、消化管内でもほとんど溶解せず、Ba²⁺として体内に吸収されない。X線を吸収する性質によって消化管の輪郭を鮮明に描き出せる一方、体内への吸収がないため毒性を示さない。
(3) 「溶解度積が非常に小さい → Ba²⁺として溶出しない → 消化管に留まる」という論理構造を書くと満点。X線吸収能(重い元素Baの特性)と毒性の無さの両方に触れることが重要です。